記事公開日:2018年9月17日/更新日:2023年5月10日
コロナ禍のマスク生活や巣ごもり生活で「顎関節症」が増加しているという特集をよく目にします。
そこで今回は顎関節症の主な症状や原因、影響や改善方法などをご紹介します。
目次
顎関節症とは?
顎関節症は主に以下の様な症状があります。
- 口を開けたり顎を動かすと、顎の関節や周囲の筋肉が痛む
- 口を開けた時に「カクカク」「ミシミシ」のような音がする
- 口が開きにくい(ひとさし指・中指・薬指の3本をそろえて口の中に縦に入らない)
どれか1つでも当てはまると顎関節症の可能性があります。
グラフは顎関節の雑音を自覚する人、痛みを自覚する人の割合のグラフです。顎関節症は20~30代の女性に多い傾向ありますが、コロナ禍で男性にも増えてきているそうです。
顎関節症の原因
顎関節症の原因は一つではなく、様々な要因が関わっています。何気ない下記の様な生活習慣に思い当たるところはないでしょうか?
- 歯ぎしりやかみしめ癖
- 片方の奥歯ばかりで噛むなどの癖
- 頬杖、うつぶせ寝などの習慣
- 硬いものを無理に食べる
- 口や顎をぶつけたことがある
- ストレス など
20~30代の女性に多い理由として、就職、結婚、出産、子育てなど環境の変化によるストレスや、顎の筋力が弱いことなどが考えられています。
これに加え、コロナ禍の巣ごもり生活でパソコンやスマホによる、俯き加減の姿勢が長時間続いたり、マスクによる口周りの筋肉や関節の緊張や圧迫などが指摘されています。
顎関節症の影響
顎関節症は、口が開けづらいため、食事や会話がしづらいなどのお口周りのトラブルだけでなく、肩こりや腰痛、頭痛、めまいなど全身に影響を与えることもあります。
診断方法と主な治療方法
当院の顎関節外来では、問診、顎の動きや痛みの検査、レントゲンなどによる検査を行います。
個人差はありますが適切な診察や検査を受けて、歯科医師による治療やセルフケアにより、多くの場合は快方に向かいます。
正しいセルフケアと自己管理
- 噛みしめ等の癖を自覚して、それらをしないように意識して負担を減らす
- 痛みがあるときは無理をせず、口を大きく開けずに食べることができる柔らかいものを食べたり、安静にする
- 顎の周りのマッサージを行う(医師の指導のもと行ってください)
- スマホの使用時間を管理したり、適度に休憩をとる
- 周りに人が少ない場合等、マスクを外せる場合は外してお口周りの筋肉をリラックスさせる
マウスピース(スプリント)
睡眠時の無意識の食いしばりやかみしめが原因の場合は、顎関節への負担を減らすために睡眠時のマウスピースを利用します。
歯科医院での処置
マウスピースの使用やセルフケアなどを行っても痛みが改善しない場合は、直接顎の関節部分に薬剤や潤滑剤を注入したり、顎の関節円盤のずれなどが生じている場合は、正常な位置に戻す処置などを行います。
治療期間について
治療期間は顎関節症の重症度や個人差によって異なります。目安として、初期治療による症状の緩和は1か月から3か月程度です。
まとめ
今回は顎関節症の主な症状や原因、影響や改善方法などをご紹介しました。ご自身で日常的な癖やスマホの利用時間などを管理したり、ストレスを上手に発散させることで改善することもありますが、顎の痛みや気になることがあれば、まずはかかりつけの歯医者さんやお近くの歯科医院に相談しましょう。
当院では、顎関節外来では、顎のトラブルの原因を分析し、食事指導、悪習慣の改善指導はもちろん、必要に応じて噛み合わせ治療も行っておりますので、お気軽にご相談下さい。
参考
- テーマパーク8020 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index04.html
- 厚生労働省 平成 28 年歯科疾患実態調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-01.pdf
- TBS NEWS DIG https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/440286?display=1