お口の健康と栄養について

お口と栄養の関係

お口が健康でなければ、好きなものを美味しく食べることができません。

食べ物が噛みづらい→柔らかい食べ物が多くなる→栄養のバランスが崩れる→身体・精神機能の低下→QOL(生活の質)の低下というように、お口のささいな衰えがきっかけで全身への影響があるため、虫歯や歯周病などのお口のトラブルを治療し、しっかり予防しましょう!ということをこれまで紹介してきました。しかし、若い世代でも食生活の変化や、高齢化が進むことにより、当院では、「噛める健康なお口づくり」のさらにその先の「日頃のバランスの取れた食事や栄養状態の改善」が重要であると考えています。

そこで今回はお口の健康と栄養についてご紹介します。

お口の健康を保つ主な栄養素

歯の力

お口を健康に保つために必要な栄養素をご存知ですか?「歯は骨だからカルシウム」と考える方も多いですが、カルシウムだけでは丈夫な歯を作ることは出来ません。お口は歯だけでなく、歯茎や唾液など様々なものが関わり合って健康を保っています。

お口の健康を保つ主な栄養素は以下です。

  • 歯の素となるカルシウム(牛乳、乳製品、大豆製品、小魚など)
  • 歯のエナメル質を強化するビタミンA(卵黄、レバー、バター、緑黄色野菜など)
  • 歯の象牙質を強化するビタミンC(野菜類、果実類、芋類など)
  • 歯の土台を作るたんぱく質(魚、肉、卵、大豆製品など)
  • カルシウムの吸収を助けたり、唾液の質を高めるマグネシウム(海藻類、納豆、玄米ご飯など)
  • カルシウムの利用を高めるビタミンD(魚、きのこ類、レバーなど) など

しかしこれらは現代日本の食生活において不足しがちな栄養素という結果もあり、意識して取り入れることが大切です。

 

ライフステージに合わせた食育や食支援

当院では、歯科の立場からライフステージに合わせた食育や食支援のアドバイスを行っております。

 

①食育

おやつの選び方

当院ではお子様への取り組みとして食育を行っています。虫歯の原因となるシュガーコントロール(砂糖摂取の管理)や、食の欧米化により柔らかい食べ物が増えて噛む回数が減ってきたことによる顎の発育不全予防が主となります。

子どもは成長のために多くの栄養を必要としますが、一度にたくさん食べることができないため、一日三回の食事に、おやつで栄養を取り入れることが必要です。

おやつ=甘いものではなく、果物やナッツ類、小魚、チーズなどをお菓子と上手に組み合わせて、食べる回数やる時間を決めて上手に栄養を摂りましょう。

また、食事を通して、食べることの大切さや楽しさ、お手伝いで協調性などを身に付けることができます。

 

②生活習慣病予防

糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病は、お口の健康と深くかかわっています。

食生活と運動、睡眠などが不規則になることに加え、歯周病でこれらの疾患が引き起こされたり悪化することに関与することがわかってきているため、お口のケアに加えて生活習慣指導も行っております。

特に若い世代や働き盛りの年代は、就職や結婚、育児、仕事などライフスタイルの変化から、食生活や生活習慣が乱れやすくなるため、無理なく少しずつ生活習慣を改善するためのアドバイスを行います。

 

③食支援

オーラルフレイル

歳を重ねるにつれて、歯が失われたり、入れ歯の不具合や、お口の清掃が行き届かないことから、噛みづらく栄養状態が悪くなり、生活の質が低下するといったことに繋がってしまいます。そうならないためにも、当院ではお口を清潔に、健康にしてお口の機能を回復させるとともに、お口の健康を保つ食事の食べ方やポイントをお伝えし、お口から身体の健康を守ります。

 

まとめ

今回はお口の健康と栄養についてご紹介しました。

食べることの目的は栄養を摂取することはもちろんですが、おいしく楽しく感じられることがとても大切です。そのためにもかかりつけの歯科医院を持ち、歯科定期検診を受けて、お口の健康を守りましょう。

好きなものと栄養のバランスを上手に組み合わせながら、身体も心も健康に過ごせるようにしたいですね。

 

参考

meiji 日本人に不足しがちな栄養素に基づいた食品分類

https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2023/0530_01/

 

大塚製薬栄養素カレッジ https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/

瓢箪山の歯医者・医療法人小川歯科医院院長・歯科医師 小川清二

記事監修医

瓢箪山の歯医者
医療法人小川歯科医院
院長・歯科医師 小川清二

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