日本は諸外国と比べて平均寿命が長い長寿国です。長生きするのであれば、心身ともに制限なく健康に過ごしたいですよね。このように健康に過ごせる期間のことを「健康寿命」と言います。平均寿命と健康寿命に差が無ければとてもいいのですが、調査によると介護が必要になるなど、差が生じているのが現実です。これにはお口の健康も大きくかかわっています。
今回は、お口の健康と健康寿命の関わりや、歯科の視点から健康寿命を延ばすためにできることをご紹介します。
目次
日本人の平均寿命と健康寿命について
令和元年の調査によると、日本人の平均寿命は男性 81.41 歳、女性 87.45 歳、しかし健康寿命は男性が 72.68 歳、女性は 75.38 歳と平均寿命と健康寿命におよそ10歳の差があります。
お口のトラブルと健康寿命の関わり
「65歳以上の要介護者等の介護が必要となった主な原因」を見てみると、脳卒中や心臓病、認知症、骨粗鬆症といった内容で、これは歯周病が影響を及ぼす全身疾患に当てはまるものが多くあります。
歯の本数と食べられるものにも大きな関連があり、歯の本数が減るほど噛めなくなり、食べられるものの種類が減ってしまい、栄養バランスが悪くなったり、おいしさを感じにくくなるなど食べることの楽しみが減ってしまいます。このように、お口と健康寿命は深くかかわっているのです。そのために80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020(ハチマルニイマル)運動」が推進されています。
健康寿命を延ばすためのできること
歯科医院に通う習慣をつける
自分のお口の健康に自信があっても、気が付かないところで虫歯や歯周病が進んでいることも。虫歯や歯周病は自然に治ることはありません。お口にトラブルがある場合はまずはしっかり治療することが大切です。
その後はお口の健康な状態を維持するために定期検診を受けましょう。いつでも気軽にお口の相談ができるかかりつけの歯科医院を持ち、継続的にお口の健康を管理しましょう。
セルフケアをしっかり行う
歯科医院でのケアだけでなく、日ごろの歯磨きや生活習慣の積み重ねが大切です。自己流の歯磨きではなく、歯科医院の歯磨き指導で教わることができる「正しい歯磨き」の実践やバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など規則正しい生活はお口とからだの免疫力を高めることにも繋がります。
自分のお口に関心を持つ
歯の痛みや気になるところはないか、食べづらくなったものの有無や、食べこぼしが増えたなど昔と比べて変わったところがないか普段から気にかけ、ささいなお口の変化を見逃さないようにしましょう。
まとめ
今回は、お口の健康と健康寿命の関わりや、歯科の視点から健康寿命を延ばすためにできることをご紹介しました。
過去のコラムで何度も紹介してきましたが、お口とからだには深いかかわりがあることを知り、正しいケアを継続することが様々な疾患のリスクを下げるだけでなく、好きなものを美味しく食べて健康的に過ごせる「生活の質」を維持することに繋がります。
そのためにも、歯の一本ぐらい…などと軽視せず、健康な歯とお口のためにしっかりと継続的なケアを行いましょう。
参考
厚生労働省 健康寿命の令和元年値について https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
内閣府 令和元年版高齢社会白書 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/index.html