先日のコラム「からだの健康はお口から!歯周病と全⾝の関係」でも歯周病と様々な疾患の関係について紹介しましたが、近年ではアルツハイマー型認知症の患者さんの脳内から歯周病菌の原因菌が検出されたことで、歯周病と認知症の関係に注目が集まっています。
これにより、九州大学などの研究チームがマウス実験により、歯周病患者の歯茎に生じたアミロイドβが血管を通して体内に侵入し、その後、脳内に蓄積されて記憶障害などを引き起こす可能性があることを発見しました。
歯周病を予防して様々な疾患のリスクを減らせるように、今回は歯周病対策についてご紹介いたします。
歯周病とは
歯周病は、歯の周りの組織がプラークという細菌の塊によって破壊されていく病気です。細菌が引き起こす炎症性疾患で感染症でもあり、糖尿病や呼吸器系疾患など全身に様々な影響を及ぼします。
若いから大丈夫と思っている方もいるかと思いますが、歯周病は子供から大人まで幅広い年齢の人がかかっています。歯周病は国民病とも呼ばれ、全国民の約80%程が歯周病を抱えているとも言われています。
しかし、歯周病は沈黙の病気とも言われ、初期段階では自覚症状がほとんどなく見過ごされていることが多く、問題視していない人も多くいます。
歯周病を予防するには
歯周病を予防するためには「プラークコントロール」が大切です。プラークコントロールはお口のプラーク(細菌)の量を減らすことを指します。お口のケアというと歯磨きだけの様に思いがちですが、それだけではありません。歯科医院や⾃宅で行うプラークコントロールをご紹介します。
⻭科医院でのプラークコントロール
歯磨き指導
プラークコントロールには毎⽇の正しい⻭磨きが最も重要です。しかし正しい⻭磨きができている⼈は少なく、⾃⼰流で磨いている⼈が多いのではないでしょうか。
⻭並びや磨き⽅の癖、⼒加減など、⻭科医院ではひとりひとりに合った⻭磨き指導を行います。⻭磨きをしっかりマスターして、プラークコントロールの効果をアップさせましょう。
プロによるお⼝のメンテナンス
磨き残したプラークは⻭⽯となり、⻭磨きだけでは取り除くことができませんので、歯科医院でのプロによるケアが必要です。専用の器具でしっかり汚れを取り除くことで、プラークが付きにくいお⼝の環境を保つことができます。
しかしながら清潔なお⼝の環境はずっと保てるわけではありません。どうしても日々の磨き残しなどが出てきてしまいますので、⼀度メンテナンスを受けたからと⾔って安⼼するのではなく、定期的に継続してメンテナンスを受けることが⼤切です。
⽣活習慣の指導
バランスの悪い⾷事や睡眠不⾜などにより、⾝体の抵抗⼒や免疫⼒が落ちることによってプラークの活動が活発になってしまいます。生活習慣がお口の環境にも大きくかかわってきますので、規則正しい生活を心がけましょう。
⾃宅でのプラークコントロール
⻭磨き
食べたら磨くことを意識しましょう。歯科医院での歯磨き指導で正しい⻭磨き⽅法をマスターしておくと良いでしょう。歯ブラシの毛先が開いてしまっていると、せっかくの歯磨きの効果が落ちてしまいます。⻭ブラシは⽉に1回は交換するようにしましょう。
⻭ブラシ以外のケアアイテムの活⽤
⻭と⻭の間など⻭ブラシだけでは磨きにくい部分がどうしても出てきます。⻭間ブラシやフロスなどを併⽤し、しっかり汚れを取り除きましょう。洗⼝液やキシリトールも併せて使⽤するとより効果的です。
規則正しい⽣活
お⼝のケアも必要ですが、やはり規則正しい⽣活が⼤切になってきます。バランスの取れた⾷事やしっかり睡眠をとり、免疫⼒・抵抗⼒をアップさせて細菌が活動しにくいお⼝の環境を整えましょう。
⾷事の際にもよく噛んで食べるなど、少し意識するだけでも変わってきます。
早期発見早期治療を
歯周病は早期発見早期治療が大切です。そのため、歯科定期健診を受けることをお勧めしております。
すでに歯周病になってしまった場合でもしっかり治療をすることで、歯を失うリスクを減らすことができます。
当院では治療に入る前に患者様にプラークコントロールの重要性を認識してもらい、⻭周病をできる限り繰り返さない、進⾏させないようにして、健康なお⼝を保っていただけるようにしています。
プラークについてや、歯周病治療についてなど下記コラムにもまとめておりますので、併せてお読み下さい。
- からだの健康はお口から!歯周病と全⾝の関係 https://ogawa-d-c.com/archives/colmun/perio
- プラーク(歯垢)について https://ogawa-d-c.com/archives/colmun/plaque
参考
九州大学,歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる~歯周病によるアルツハイマー型認知症関与を解明する新しい発見~