ご存知ですか︖「オーラルフレイル」~お口のトレーニングで口腔機能の維持・改善を~

オーラルフレイルとは

「オーラルフレイル」をご存知でしょうか︖オーラルは⼝腔の、フレイルは虚弱を意味しており、「お⼝の衰え」のことです。お⼝の衰えは、⾝体の衰え「フレイル」のひとつです。

下の図は⾝体の衰えの段階を表したものです。オーラルフレイルは「前フレイル」の症状です。

オーラルフレイル

年を重ねるに従って、食べこぼしが多くなった、⾷べ物が飲み込みにくくなった、活⾆が悪くなったなど、お⼝の少しの変化は気がつきにくいので、注意が必要です。

例えば、固いものが噛めない→柔らかいものを食べる→噛む⼒が低下する→⾷欲の低下→⼼⾝機能の低下…というように気が付かないうちに悪循環になり、様々なからだの機能の低下につながてしまいます。

また、新型コロナウイルスの影響で、人と会ことが減り会話や食事の楽しみが減ったり、外出しが減り身体を動かす機会がなくなったという方も多く、それらの些細なことが、衰えに繋がってしまっているかもしれません。

オーラルフレイル セルフチェック

以下の項⽬に⼼当たりはありませんか︖

⾷べこぼす

⾷事中にむせることが多くなった

⾷欲がない

柔らかいものを⾷べることが多い

⾆が回りにくい

⼝が乾く

⼝臭が気になる

⾃分の⻭が少ない

これらのチェックが多いほど、⾼齢になって⼼⾝の活⼒の低下につながる可能性が⾼くなります。

 

オーラルフレイルを予防・改善するために

オーラルフレイルを予防するポイントは以下の2点です。

お⼝のことに関⼼を持って清潔にする

基本的な事ですが、バランスの良い⾷事や規則正しい生活を送り、お⼝を清潔に保ちましょう。

⾍⻭や⻭周病の処置、プロケアを受けるなど、かかりつけの⻭科医師に確認してもらうことが重要です。

 

お⼝の機能を意識し、維持や改善に努める

噛む、飲み込む、発⾳するなどの動作がスムーズにできるように、⼝周りの体操をしたり、唾液腺マッサージをするなど⼝腔機能の維持・改善に努めましょう。

 

具体的な対策

お口の機能を鍛える様々なトレーニングがあります。いくつか紹介しますので、無理のない範囲でできることを実践してみましょう。

  • パタカラ体操

パタカラ体操とは、「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発声するお口の体操です。

「パ」は唇周りの筋肉を鍛えることで、しっかり口を閉じて食べこぼしを予防します。

「タ」は舌の筋肉を鍛え、食べ物を押しつぶしたり、しっかり飲み込んだりすることができます。

「カ」は喉に近い筋肉を鍛えることができ、誤嚥せずに飲み込むトレーニングになります。

「ラ」は舌の動きを良くして、食べ物を喉の奥ヘ運ぶことができます。

パタカラ体操

  • 唇と頬の体操

口をしっかりすぼめて「ウー」と発音する、口をしっかり横に開き「イー」と発音する。これを何度か繰り返し行うことで、唇や頬の筋力アップにつながり、いきいきとした表情につながります。

唇と頬の体操

 

  • ブクブク・ガラガラうがい

実は、うがいは複雑なお口の動きをしており、お口のトレーニングになります。10秒を目安に、ガラガラやブクブクうがいの動きをいつもより意識してすることで口腔機能が鍛えられます。外から帰ってきたときの手洗いうがいのときに、一緒に意識してうがいをすると一石二鳥です。

ブクブク・ガラガラうがい

 

  • よく噛む

食事の時に少し意識して噛むだけでも立派なトレーニングになります。

料理のトッピングにナッツ類など自然とよく噛むような食材を取り入れる工夫をしてみてもいいでしょう。

よく噛むことは唾液の分泌をよくする働きもあります。

噛む回数

 

この他、舌のトレーニングや「マスク生活で気になるお口の渇き…口呼吸が原因かも⁉」で紹介した唾液腺マッサージも効果的です。

ささいな衰えを軽視しないように、⾃分のお⼝の健康状態を知って早めに対策をしましょう。

 

 

参考

公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/oral_flail/gymnastics/

一般社団法人 日本老年医学会 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_53_4_327.pdf

瓢箪山の歯医者・医療法人小川歯科医院院長・歯科医師 小川清二

記事監修医

瓢箪山の歯医者
医療法人小川歯科医院
院長・歯科医師 小川清二

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